ゲーミフィケーション

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ゲーミフィケーションについてまとめた。「ゲーミフィケーション 「ゲーム」がビジネスを変える」の内容を中心に抜粋して編集、加筆。

ゲーミフィケーションとは

ゲーミフィケーションとは

ゲーミフィケーションとは、ゲームの考え方やデザインなどの要素をゲーム以外の社会的な活動やサービスに利用することをいう。言い換えると、外発的動機づけ(きっかけとしてのゲーム)との境界線的な要素(報酬)を求めるうちに、内発的動機づけ(目的の行動)を駆動させるようなメカニズムを指す。

ゲーム戦略

「ゲーミフィケーション」は「ゲーム戦略」を構成する要素のひとつとして考えられる。ゲーム戦略は、ゲーム自体の持つ人を引き付ける力を利用する「ゲーミフィケーション」と、ゲーム業界のユニークなビジネス展開を他の業界で適用する「ゲームビジネスメソッド」で構成される。

ゲーム戦略=ゲーミフィケーション+ゲームビジネスメソッド

ゲーミフィケーションの生まれた背景

ゲーミフィケーションという言葉が現在の意味で用いられるようになったのは2010年半ば頃からである。この概念が生まれた背景は次のようなものであると考えられる。

インターネットによる情報過多
インターネットが普及し、誰でも情報発信ができるようになると、情報爆発が起こった。それにともない情報過多となり、これまでの販売促進や広告の手段ではサービスや商品が埋没してしまうようになった。一方、ソーシャルメディアの登場やデータマイニング技術の発達により「自分で欲しい物を選ぶ時代」から「他人が欲しい物を教えてくれる時代」になった。
ゲームの一般化
ファミリーコンピューターに始まるTVゲームとともに成長してきたいわゆる「ゲーム世代」が成人になり、娯楽としてゲームで遊ぶ人の絶対数が一定値を超えた。
スマホの普及とソーシャルゲームのヒット
スマートフォンの普及に伴い、いつでもインターネットにアクセスできるようになり、時間の使い方に変化が起こった。またスマホを中心としたソーシャルゲームがヒットし、ゲームを遊ぶ層が拡大するとともに、ゲーミフィケーション系企業が急成長した。また、ソーシャルゲームを用いたマーケティングの成功事例もみられるようになった。
センサー技術の進歩
GPSや加速度センサーに代表される測定技術が充実し、あらゆる物事を数値化できるようになった。

ゲーミフィケーションの範囲

ゲーミフィケーションの類似事例による包含関係
やみつきになる現象
(形式化されていないゲーム的な現象)
準ゲーミフィケーション的事例
(ポイント制度、ラジオ体操のはんこ、歩数計、当たり付き自動販売機、オーダーメイド)
非ネット系ゲーミフィケーション事例
(スタンプラリー、スターバックスのポイントカード)
狭義のゲーミフィケーション
(ナイキプラス、フォースクエア)
「シリアスゲーム」はゲーミフィケーションに含まれるか?

シリアスゲームとは、軍事演習や教育など「社会の様々な問題をゲームに持ち込む」形のものである。逆に、ゲーミフィケーションは、「ゲームを社会の様々な場所に持ち込む」形を取る。ゲーミフィケーションがビジネスにおいて与える効果や影響を推量する際は分けて考えたほうが良い場合もある。

ゲーミフィケーションのマネタイズ

サービスを利用すること自体に課金
短期間でお金になる、有料と無料にわけて展開することもできる
サービスで集まった人たちに別の商品を販売
関連商品の販売など、多数の利用者が見込めるものに適用できる
サービス自体を他社に販売
ゲームシステムをASPとして提供する

ゲーミフィケーションの効果

ゲーミフィケーションの3大効果

  1. 興味、関心をもたせる(モチベーション)
  2. 行動を促す(アタッチメント)
  3. 繰り返し利用する(ロイヤリティー)
なぜゲームは再利用率が高いのか
  • ゲームは繰り返して遊ぶよう設計されている
  • ゲームはコンピューターが相手をしてくれる
  • ゲームは飽きる速度が相対的にゆっくりである

物語のパワー

ストーリーをもった情報発信は言葉だけの説明よりも説得力がある。ゲーミフィケーションはあらゆるでき事に潜んだ物語を強調する効果がある。

ゲーミフィケーションの技術

説明 具体的な事例とポイント
即時フィードバック 行動に対する反応がすぐに分かる facebookの「いいね!」や「開封済み」の表示、オンラインチャットなど
フィードバックが早ければ早いほど良い
レベルアップ 価値(目標と現状)の数値化 会員制で用いられるランクアップシステム、クレジットカードのゴールドカードやブラックカードなど
ポイントを利用したら終わり、という状況を回避できる
レベルデザイン 利用者のレベルに合わせたコンテンツを準備する 会員制、年功序列など
チュートリアルのような初心者向けコンテンツはスタートアップに重要
不足感 コレクション欲求を喚起する スタンプラリー、ラジオ体操、分冊出版など
全体の数量の設定と明示が大切
シークレット 利用者に期待させる 福引、福袋、ガチャガチャなど
わかる要素と分からない要素のバランスを調整し、適度な不安感を与える
スコアとランキング 自分の位置を把握させて意欲の向上と工夫の誘発を狙う 全国模試、営業成績など
誰でも「一番」になれるよう、複数の視点で採点すると効果的
バッジと実績 利用者の到達度を可視化 学歴、勲章、ボーイスカウトなど
目で見えるもの、さらに触れるものであればなお良い
競争 身近な相手と競ってモチベーションアップ 校内テスト、社内コンテストなど
勝てそうな相手との相対的評価を与える
協力 仲間でつなぎとめる、チームを作る コワーキング、社会人サークル、業界団体など
孤独感を解消し、必要とされる感覚を与える
価値観の共有 交流を広げる アバター、カジュアルデーなど
利用者同士の別のつながりを作る
ストーリー 記憶に残させる 体験談、開発秘話など
ユーザーが知らない内部の情報や本音を垣間見せる
カスタマイズ ユーザーの好みの仕様に仕上げる 自動車やPCの受注生産など
ユーザーオリジナルのキャラクターを作らせ愛着をもたせる
イベント 特別なでき事や催しを開催する 社員旅行、セール、感謝祭など
頻度を調整して「特別感」を維持する
リメンバー 「期限付き」の権利を付与する クーポン、ボトルキープなど
期限による焦燥感をあおる
プレリレーションシップ 新作のリリースに合わせて旧作に注目させる ベスト盤、授業の復習、前回までのストーリーの解説など
ブランディングの効果が高い
グラフィカル 魅力ある絵で楽しさを伝える ロゴ、キャラクター、図解など
文字だけに比べて情報量が多くなる
驚嘆 ユーザーの想像を超えるサービス 手書きのメッセージ、ハプニング、サプライズなど
本質的なサービスの完成度が十分な上で展開する

ゲーミフィケーションを実践する際の注意点

否定的な切り口では使用しない
罰則を設けるのではなく、好ましい行動を推奨する
依存させない
極端な依存を誘導するような設計をしない
貨幣を介しない
ゲーム内のポイントをリアルの貨幣と交換できるようにすると趣旨が変わる
ゲームの仕組みはシンプルに、わかりやすく
ゲームの奥が深くても、ルールが複雑すぎると利用するまでのハードルが高くなる
「ゲームそのもの」を作らない
下手にゲームを作ると、既存のコンピューターゲームと比較される
フィードバックをを迅速に
アクションに対するフィードバックをコンピューターや他の参加者にさせる

ゲーミフィケーションの問題点と課題

提供側の偏り
内部で十分にテストを重ねたつもりでも、ゲームの仕組みや目的がユーザーに受け入れられないことがある
プライバシー
ゲーミフィケーションはユーザーのあらゆる情報をゲームの対象とできるので、プライバシーにまつわる問題を抱えることになる
チート
ポイントの不正取得やレベルの調整など、不正な手段で利得を得ようとするユーザーへの対応が必要である
やりがいの搾取
ゲームを通じて「只働き」や「不当な対価での労働」をさせられる可能性がある
仕組みの固定化
一度構築した仕組みが環境の変化に柔軟に対応できるかどうか
バーチャルとリアリティの衝突
リアルマネートレードの問題
望まれないゲーミフィケーション
戦争など好ましくない目的でのゲーミフィケーションの利用

参考

記事のデータ

公開日2013年2月27日
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