ウェブ分析の基礎

Webサイトへのアクセス状況を分析し、改善することは、Webサイトでの情報発信力を高める基礎的な方法である。また同時に重要な方法でもある。
ウェブ分析の流れ
- 目標を設定する
- データを収集する
- 収集したデータを分析する
- 分析結果に基づいて改善策を講じる
「集計」と「分析」の違い
「集計」とはデータを集めて計算することであり、「分析」とはある物事を分解して、それらを成立させている成分、要素、側面を明らかにすることである。
目標の設定
サイトの改善を行うには「目標の設定」が不可欠である。これにより評価の基準や改善ポイントが明らかになる。
KGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)の設定
- 消費販売に拠る売上が発生するサイト・・・売上
- 広告掲載に拠る売上が発生するサイト・・・広告枠の数×掲載率×ページビュー単価
- コンテンツ掲載による売上が発生するサイト・・・掲載数×掲載あたりの単価
- サイト外で売上が発生するサイト・・・諸条件から計算
- 売上が発生しないサイト・・・満足度の計測
CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)の策定
CSFは戦略(KGIを達成するための要件)に当たる。
戦略(CSF)と戦術の例
戦略(CSF) | 戦術 |
---|---|
購入回数を増やす | 商品数を増やす、利用者数を増やす |
流入量を増やす | 集客にお金をかける、オフライン広告を掲載する |
購入単価を上げる | 関連するおすすめ商品を紹介する、まとめ買いで送料を無料にする |
利用頻度を上げる | メルマガを発行する、リピーター向けのキャンペーンを行う |
満足度を上げる | ヘルプやFAQを作成する、アンケートに基づいて改善する |
離脱率を下げる | 導入してきたページを見直す、リスティング広告を見直す |
会員を増やす | 会員限定サービスを提供する、会員機能の露出を増やす |
KPI(Key Performance Indicator:業務評価指標)の設定
「KPI」はKGI、CSFから導かれる「具体的な施策」と「具体的な目標」である。KPIはCSFによって複数設定されるため、KGI達成の方法は複数存在する。KPIは実行可能で、値の変動幅が小さく、かつ改善幅の大きいものを設定すると良い。
KGI | 目標A | ||
---|---|---|---|
CSF | 戦略A | 戦略B | 戦略C |
KPI | 施策A | 施策B | 施策C |
データの収集と調査
「Google Analytics」などのアクセス解析ツールを用いて、サイトの特性や状況を明らかにすることができる。
アクセス数に関する3つの指標
- ページビュー数(PV)
- サイト、ページが「表示された回数」
- 訪問回数(セッション数)
- ユーザーがサイトに「来訪した回数」
- 訪問者数(ユニークユーザー数)
- サイトに来訪した「ユーザーの数」
訪問者数≦訪問回数≦ページビュー数
ウェブ分析に特有な4つの指標
- 新規ユーザー/リピーター
- 新規ユーザー率やリピーター率
- コンバージョン
- 任意の目標への到達したかどうかの指標
- 遷移/離脱/直帰
- 訪問者数中、別のページに移動した「遷移率」、そのページが最後の閲覧ページとなった「離脱率」、1ページしか見なかった「直帰率」など
- 滞在時間
- ページやサイトにどの時間滞在していたか
データの分析
集めたデータは時期的なトレンドを頭に入れたうえで分析する必要がある。
モニタリングレポートを作成する
モニタリングレポート(アクセス解析ツールのデータを定期的に記録し、まとめたレポート)を作成する。モニタリングレポートは「データ」、「グラフ」、「まとめ」から構成される。
トレンドで分析
「トレンド」とは、数値を時系列に見た場合現れる傾向のことである。ウェブ分析では現在の状態がトレンドによるものなのか、他の要因によるものなのかを見極める必要がある。
トレンドは季節毎、月毎、週毎、日毎、時間毎など様々な期間でみられる。これに売上など他のデータを組み合わせて分析する。
条件毎に分析
データを流入元、検索ワード、入り口ページ、新規ユーザー/リピーター、コンテンツなどの条件で分類して分析する。
課題を発見する10のステップ
- 主なトレンドの把握
- サイトの流入内訳(検索エンジン、検索エンジン以外、ノーリファラー)の確認
- 検索エンジンからの流入の分析
- 検索エンジン以外のリファラーの分析
- 入り口ページの分析
- 出口ページの分析
- 来訪者の地理情報の分析
- 特定ページ(サイトの中で重要なページ)の分析
- コンバージョン直前ページの分析
- コンバージョンページの分析
課題の発見と改善策
ウェブ分析の目的は「課題の発見」ではなく「課題の改善」である。
課題の発見と改善のための6ステップ
- 「特徴」「強み」「弱み」に分類
- 課題の改善策を考える
- 改善策の優先順位を決める
- 具体的な方法とスケジュールを決める
- 改善策のゴールを決める
- 改善策を実施して、評価する
参考
記事のデータ
文責 | |
---|---|
公開日 | 2011年6月8日 |
カテゴリー | |
タグ | Web/企画と戦略/分析/情報を利用する/技術と手法/用語 |
関連する記事 |