認知限界

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認知限界

一人の人間が情報を正しく認知したり適切に処理できる能力には限界がある。この限界を理解し、超える方法を模索することで、うまく情報とつきあう方法が見えてくる。

情報爆発と認知限界

PCやインターネットの低価格化や普及に伴い、情報の複製、拡散、保管に必要なコストが減少し、情報の爆発が起こった。これにより、手に入れることができる情報量は膨大になった。同時に、情報の非対称性の崩壊も起こり、意思決定に利用できる情報はより複雑になった。

洪水のように降り注いでくる情報を上手く処理できていない感覚を多くの人が持っていると思われる。これは、ある程度は「慣れ」や「ツール」で解消できる部分もあるが、限界がある。これ以上はどうしようもない、というレベルの量の情報に曝される機会は今後ますます増えることが予想される。

認知限界とは

認知限界とは、人間の認知能力や情報処理能力の限界のことをいう。もともとは組織論において、「一人の人間が安定した関係を維持できる人数には限界がある」という文脈でハーバード・アレクサンダー・サイモン(経営学者、認知科学者・アメリカ)が用いた。人には誰でも認知限界があるので、複雑な情報処理をする際には組織が力を発揮する。処理対象となる情報を細かく分け、組織として対応することで、一人の人間では実現できない高度な情報処理を実現することができる。

ティッピング・ポイント

別の組織論からも認知限界の存在があぶり出されている。物事の流行のプロセスにおいて、それを越えると一気に全体にいきわたる閾値が存在する。これを「ティッピング・ポイント」といい、マルコム・T・グラッドウェル(ジャーナリスト・カナダ)が提唱した。マルコムは、人の行動や考えに効果的に影響を与える集団の規模として「150の法則」を論じた。これは霊長類の脳の研究や狩猟社会のフィールドワークからもほぼ同じ数字が出ており、150人を下回る規模の組織であれば規範がなくても同じ目標を達成することができることがわかっている。

認知限界を認知する

このように、経験やコミュニケーション論、組織論の中から、認知できる情報量や処理能力の限界についての示唆がなされたことは興味深い。情報のやりとりをするにあたり、人にはそれぞれ最適な情報量とその提示の仕方がある、という前提を持っているかどうかは重要である。まずは認知限界を理解し、どのようにすれば限界以上の情報を処理できるのかを考える必要がある。

認知限界を超える試み

分類と組織

カテゴリーとタグ
分類の基本となるカテゴリー分けとタグ付けを行う。
モジュール化
全体を一度に扱うのでは無く、分割して扱う
cf.モジュール
コミュニティ
共通の目的を持って集まり、組織として行動する。

意味付け

セマンティックウェブ
Webページにその内容に関する情報を一定の規則に従って付与する。
cf.セマンティックウェブ
キュレーション、レコメンデーション
人の手で情報を整理したり、つなぎ合わせる。また、行動の履歴から最適と思われる情報を提供する。

デザイン

情報の視覚化
情報を図や絵で表す。
cf.情報の視覚化グラフの種類と選び方
ユーザーインターフェース
提示する情報の量や順序を熟考する。

認知限界を知り、情報と上手くつきあう

  • インターネットでは、蓄積された全体の情報量が増える毎に、ディレクトリ型検索エンジンからロボット型検索エンジンへ、さらにSNSへと、情報の入手手段が変化してきた。これはそれぞれの方法で処理できる情報の量や種類が認知限界を超えたことが理由の一つと考えられる。
  • 上述の認知限界を超える試みが上手く機能しない場合、利用コストや学習コストなどのデメリットに押しつぶされる形で情報のやりとりが失敗する事がある。
  • 人によって認知限界は異なる。たとえば「150の法則」で挙げられた数字は研究の中で算出された平均であり、おおよそ100人から230人の幅があるとされる。利用者の認知限界に適宜対応できる仕組みがあることが求められる。

参考

記事のデータ

文責IDIA.JP
公開日2014年8月13日
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