エッセイトライアングル

書く、話す、聴くなどすべてのコミュニケーションに役立つ「エッセイトライアングル」を「考える・まとめる・表現する アメリカ式「主張の技術」」から抜粋して解説。
エッセイトライアングルとは
三角形で表現されるライティングスタイル。
エッセイトライアングルの構造

エッセイトライアングルの解説
序論(Introduction)
- フック(Hook)
- テーゼステートメント(Thesis Statement)
「フック」では質問やエピソード、ニュースなどで読者の興味を引き、テーゼに誘導する。本論やテーゼの印象を和らげ、読者や聴者を惹きつける。「テーゼステートメント」は主張の軸となるテーゼを含む一文である。
本論(Body)
- 論拠1(Argument1)
- 論拠2(Argument2)
- 論拠3(Argument3)
データや実例などで、主張の論拠や論証を示す。論拠はできれば一段落に収め、論拠の数は3つが望ましい。論拠は重要なものから並べる。論拠が3つ以上ある場合も重要なものから3つ選ぶ。2つしかない場合は「予想される反対意見に対する反論」を加えて3つにする。
結論(Conclusion)
- リキャップ(Recapitulation)
「リキャップ」では主張を再度繰り返し、強調する。フックの内容を再度持ち出せればベター。
テーゼとテーゼステートメント
テーゼとは
文章の中で最も重要で、かつ独自の論題のこと。英語では「thesis(ティーシス)」。命題、主題、論題、主張、措定などの意。
- テーゼはトピックそのものではなく、トピックに疑問を投げかけるものである。
- テーゼは独自のものである。
- テーゼは文章のロードマップである。
- テーゼは最初の段落にあることが多く、読者に論点を伝える。
テーゼステートメントとは
文章の目的を明示した文章、つまりテーゼを含む文章のこと。ステートメント(statement)とは陳述、提示の意。
- テーゼステートメントは事実や観察したことを述べたものではない。
- テーゼステートメントはトピックに対する立場を表す。
- テーゼステートメントはタイトルではない。
- テーゼステートメントは一般的な意見ではなく、範囲を限定された意見である。
- テーゼステートメントは具体的で明確である。
- テーゼステートメントは要点を1つだけ含む。
テーゼステートメントの作成フロー
- トピックを決める
- トピックを狭める
- トピックについての立場を決める
- 具体的で明確な言葉を用いる
- 明確な立証に基づき主張する
エッセイトライアングルの実践例
ブログ
- 序論
- 「人生で一番高額な買い物」といわれるのが住宅の購入である。(フック)しかし、住宅購入が人生のイベントの一つであったのは過去の話で、「終身雇用」や「専業主婦」などと同じように、高度経済成長期にのみ実現することができた夢物語となっている。ましてやこの不景気が続く状況では、住宅ローンも組みにくいのが現状だ。生涯の住宅にかかる費用を計算すると、購入と賃貸とではほぼ変わらないそうだが、数字では表せないリスクを考えると賃貸住宅を選ぶべきである。(テーゼステートメント)
- 本論
- 1995年1月に関西を、2011年3月に東北を襲った地震は壊滅的な被害をもたらした。当然家を失った家族も多く、被災者の2重ローンや今後の生活をどうするかで侃々諤々の意見がかわされている。賃貸住宅であれば災害で失うものを最小限に留めることができる。
- 次に、隣人と「合わない」ことで悩んだ経験がある人は少なくないはずだ。折角購入した住宅がどれだけ立派でも、隣人と気持ちよく過ごすことができないのであれば家で過ごす時間も半減してしまう。また最初は良くても、時間の経過と共に周囲の住人が変化し、住環境が変わってしまうことはよくある話だ。
- 時間の経過で変わるのは周囲の環境だけではなく、住宅購入者のライフスタイルも変化し続ける。子供、仕事、両親など、本人の意思でコントロールできない「変化」はたくさんある。
- 結論
- 高齢になると賃貸が借りにくくなったり、家賃がローンの返済よりも高く感じたり、購入のほうが良いと思える事実も幾つかあるのも確かだ。しかし、「人生で一番高額な買い物」を失敗したくないならば、その買い物を避ける、という手段もあるのだ。(リキャップ)
商品情報
- 序論
- 「腕時計の最高峰は?」という時計マニアが大好きな質問がある。(フック)もちろん人には好みがあるし、値段だけでいえば高い腕時計はいくらでもある。そんな中、おおむね半分以上の人が納得してくれるであろう「最高峰」の一つが今回紹介するゼニス「エル・プリメロ」である。エル・プリメロは腕時計に必要な要素を全て持った、腕時計の最高峰であるといえる。(テーゼステートメント)
- 本論
- ゼニスというブランドはロレックスやオメガほどの知名度はない。ゼニスを知っているかどうかで時計に興味があるかどうかを判断できることもある。しかしその歴史は古く、全ての製造過程を自社で行うことができる「マニュファクチュール」であることでも知られている。
- 「エル・プリメロ」はゼニスの自動巻クロノグラフムーブメントに付けられた名前である。1969年に登場したこのムーブメントは、当時各社が競って開発していた「自動巻クロノグラフ」の中でも比較的初期に登場し、ハイビート設計とすることで1/10秒を計測できる腕時計として世界を驚かせた。
- 名を馳せた「エル・プリメロ」だが、クオーツの登場以降は高機能で使いやすいデジタル時計が氾濫し、たかだかストップウオッチ機能と自動巻機能がついた時計には誰も見向きをしなくなった時期があった。しかし、将来の機械式時計ブームを信じた技術者が、廃棄命令の出た設計図を密かに隠して保管しており、現在に伝えることができた、という逸話がある。
- 結論
- 高い技術力と物語、そして(高級腕時計の中では)購入しやすい価格と、三拍子そろったゼニス「エル・プリメロ」。そろそろ「本物の腕時計」を欲しい方にも、「最高の一本」が欲しい方にもおすすめできる腕時計が「エル・プリメロ」である。(リキャップ)
まとめ
エッセイトライアングルは文章を書く時だけではなく、人の書いた文章を読む時、人と話す時、人の話を聴くときなどあらゆるコミュニケーションの場面で役に立つ。「テーゼ」や「テーゼステートメント」をしっかりと考えることができれば、説得力があり伝わりやすいコミュニケーションを行うことができる。
参考
記事のデータ
文責 | |
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公開日 | 2011年9月26日 |
カテゴリー | |
タグ | 情報を伝える/情報を表現する/技術と手法/文章デザイン/理論/用語 |
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