通話表

「通話表」は、音声通信において生じる「聞き間違い」を防ぐために制定されている、文字を単語で表現する規則をまとめた表である。限られた情報伝達技術で、正確に情報を伝えるための工夫のひとつ。
通話表の例
欧文通話表(フォネティックコード)
A | Alpha | B | Bravo | C | Charlie | D | Delta | E | Echo | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
F | Foxtrot | G | Golf | H | Hotel | I | India | J | Juliet | |
K | Kilo | L | Lima | M | Mike | N | November | O | Oscar | |
P | Papa | Q | Quebec | R | Romeo | S | Sierra | T | Tango | |
U | Uniform | V | Victor | W | Whiskey | X | X-Ray | Y | Yankee | |
Z | Zulu | |||||||||
0 | Zero | 1 | One | 2 | Two | 3 | Three | 4 | Four | |
5 | Five | 6 | Six | 7 | Seven | 8 | Eight | 9 | Nine |
和文通話表
ア | 朝日のア | イ | イロハのイ | ウ | 上野のウ | エ | 英語のエ | オ | 大阪のオ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
カ | 為替のカ | キ | 切手のキ | ク | 倶楽部のク | ケ | 景色のケ | コ | 子供のコ |
サ | 桜のサ | シ | 新聞のシ | ス | 雀のス | セ | 世界のセ | ソ | 算盤のソ |
タ | 煙草のタ | チ | 千鳥のチ | ツ | 鶴亀のツ | テ | 手紙のテ | ト | 東京のト |
ナ | 名古屋のナ | ニ | 日本のニ | ヌ | 沼津のヌ | ネ | 鼠のネ | ノ | 野原のノ |
ハ | 葉書のハ | ヒ | 飛行機のヒ | フ | 富士山のフ | ヘ | 平和のヘ | ホ | 保険のホ |
マ | マッチのマ | ミ | 三笠のミ | ム | 無線のム | メ | 明治のメ | モ | 紅葉のモ |
ヤ | 大和のヤ | ユ | 弓矢のユ | ヨ | 吉野のヨ | ||||
ラ | ラジオのラ | リ | 林檎のリ | ル | 留守居のル | レ | 蓮花のレ | ロ | ローマのロ |
ワ | 蕨のワ | ヰ | 井戸のヰ | ン | お終いのン | ヱ | かぎのあるヱ | ヲ | 尾張のヲ |
欧文通話表、和文通話表共に、利用する団体や環境、資格によって使用する単語が異なることもある。
なぜ通話表が必要なのか
- ひずみや雑音が多い通信環境である
- 遠距離の通信であったり、通信機器の性能が低い場合、また騒音などにより最適とは言えない通信環境の場合がある。
- 話者に癖がある
- 同じ言語でも話者によって発音や発声に様々な癖がある。
- 聞き間違いが許されない内容である
- 軍事やビジネスなど、聞き間違いによる情報伝達のミスが許されない場合がある。
通話表を利用すると、うまく聞き取れない場合でも、前後の音をヒントに文字を特定することができる。
一般電話と通話表
日常生活において「通話表」を用いることはほとんど無い。しかし電話などでうまく聞き取れないことや、逆にうまく伝えられないことはしばしばある。名前や住所などを伝える際に「青森の青」とか「紫式部の式」というように、通話表と同様の手法を利用した経験がある人も少なくないはずだ。
近年、有線電話に比べると音質の安定性が低い携帯電話が一般的となった。またインターネット経由で電話することができるIP電話やスマートフォン用アプリも普及が進んでおり、「電話音声の質」が以前に比べて低くなっていると思われる。これら「新しい技術」による通話音声品質の改善がなされるまでは、通話表に代表される「古い技術」が活躍する場面がまだまだみられそうだ。
参考
記事のデータ
文責 | |
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公開日 | 2012年1月28日 |
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タグ | 情報を伝える/情報を表現する/意図した通りに伝える/技術と手法/歴史 |
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