Zの法則、Fの法則

紙面でも画面でも、視線が移動する際にたどるコースや優先して視線を配るエリアには一定のルールが存在する。代表的な2つのルールと、その適用条件について考察した。
グーテンベルク・ダイヤグラム
グーテンベルク・ダイヤグラムは、「均一に配置された同質の情報を見るときの視線の流れのパターン」である。グーテンベルク・ダイヤグラムでは媒体を4つのエリアに分割し、上方左側を「最初の視覚領域」、下方右側を「終着領域」、上方右側を「強い休閑領域」、下方左側を「弱い休閑領域」とする。
- 最初の視覚領域
- 終着領域
- 強い休閑領域
- 弱い休閑領域

横書きの欧文文書では、視線は左上(1のエリア)から右下(2のエリア)へ、揺れながら移動すると考えられている。
冒頭に書いたように、グーテンベルク・ダイヤグラムは「均一に配置された同質の情報」を見るときにのみ現れる。たとえば大量のテキストで埋め尽くされたページや、逆に要素の少ない空白のページがそれに該当する。周囲と比較して異質なデザイン要素(前注意的な要素)がある場合はそれを最初の視覚領域となる。また、そのデザインに触れた経験のあるユーザーにとっては変化頻度の高い領域(新聞のトップニュースやWebサイトのお知らせなど)が最初の視覚領域となる。
cf.8種類の前注意的な要素
Zの法則、Fの法則
グーテンベルク・ダイヤグラムとほぼ同じ内容を表すものに「Zの法則」と「Fの法則」がある。
いずれもユーザーの視線の流れについて述べたものであるが、特にサイトごと、ページごとに要素の配置が異なることが多いWebサイトで現れやすい。
Zの法則

視線が左上から右上へと水平に移動し、全体を把握しながら左下へ移動する。そして左下から右下へと移動する。
Fの法則

視線が左上から右上へと水平に移動し、次に先ほどの開始領域より少し下を始点に水平に移動するのを繰り返す。
法則が現れる状況の違い
「Zの法則」は初めてアクセスしたWebサイトなど、ユーザーが初めて触れるデザインにおいて、要素の配置を知るべく視線を動かす「全体を見る際のパターン」と考えられる。一方「Fの法則」は、Zの法則で全体の構成を理解した後、具体的な情報を得るために視線を動かす「内容を読む際のパターン」であると考えられる。
Zの法則、Fの法則の注意点
Zの法則、Fの法則に基いたページデザインを採用すれば、効果的に情報を発信することができる。ただし、グーテンベルク・ダイアグラム同様、情報の強度が均質であり、他に前注意的な要素がない場合に限って効果が高い法則であることを忘れてはいけない。
まとめ
ユーザーが同質の情報群を見る際、優先して視線を配るエリアや視線が流れるルートが存在する。画面や紙面の左上が重要なエリアであることは疑いがないようだ。しかし、それ以外のルールについては他のデザイン要素による視線の集中に勝るものではない。効果的な視線誘導を行うためには、配置もさることながら、配色や文字のジャンプ率(文字の大きさの違い)などを利用する必要がある。
参考
記事のデータ
文責 | |
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公開日 | 2012年9月2日 |
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タグ | ビジュアルデザイン/ユーザビリティ/情報を表現する/理論/用語 |
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