ユニバーサルデザインの原則

ユニバーサルデザインの原則を具体的な例を挙げながらまとめた。全ての人がユニバーサルデザインを意識することで、よりよい環境や製品を生み出すことができる。
ユニバーサルデザインとは
できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザインにすること。ユニバーサルデザインセンター(ノースカロライナ州立大学)の所長であったロナルド・メイス氏らによって1985年に提唱されたコンセプト。障害者だけではなく、誰にでも使いやすいデザインを目指す。
ユニバーサルデザインの7つの原則(原文)
- Equitable Use
- Flexibility in Use
- Simple and Intuitive
- Perceptible Information
- Tolerance for Error
- Low Physical Effort
- Size and Space for Approach and Use
公平である(Equitable use)
誰にでも公平に使用でき、容易に入手できること。利用する際に差別感や屈辱感を与えないこと。利用者にとって魅力あるデザインであることも含む。
例
- 商品取り出し口や釣銭返却口が低い位置にある自動販売機
- 点字の併記
- いわゆる「朝顔」ではない男性用小便器
自由度がある(Flexibility in use)
使用する上で自由度や柔軟性があること。利用者の好みや能力、使い方に合わせられること。
例
- 両利き用の刃物
- サイズが調整できる棚
- 現金、クレジットカード、電子マネーに対応したレジスター
単純である(Simple and intuitive)
使い方が簡単で、直感的である。利用者の経験や知識、状況に関係なく利用できる。利用者の直感や期待と一致させる。操作に対してフィードバックがある。情報はその重要度に応じて一貫性を持って整理する。
例
- 触れるだけで処理されるICカード
- タッチパネル
- センサー式蛇口
参考
様々な方法で認識できる(Perceptible information)
文字、色、形、音、コントラストなど、様々な方法で情報を伝えること。わかりやすい情報の提示。
例
- シャンプーボトル、リンスボトルの触感に差をつける
- 多言語表記の看板
- 音声案内する地図
参考
間違いに対する寛容性がある(Tolerance for error)
操作のミスや勘違いに対して寛容性があること。またそれらを事前に防ぐための配慮が施されていること。
例
- パソコンの「やり直し」機能
- 押すのにある程度の力が必要な非常ベルのボタン
- 電車ホームの扉
参考
身体的負担の軽減(Low physical effort)
要求される身体的条件が低く、弱い力でも使用できること。快適に使用でき、疲れないこと。反復的、持続的操作を最小限にすること。
例
- 自動ドア
- 缶切りが不要な缶詰
- 回すのではなく押すことで開くドアノブ
十分な大きさと空間の確保(Size and space for approach and use)
使用するために十分な大きさとスペースを確保すること。
例
- 押しやすい大きさのボタンを配したリモコン
- 車椅子で利用できる電話ボックス
- ストレッチャーの利用できるエレベーター
ユニバーサルデザインの優先度
「ユニバーサルデザインの原則」は必ずしも「良いデザインの原則」とは一致しない。
ユニバーサルデザインと優先度を比較すべき条件
ユニバーサルデザインと上記条件を同時に満たすことは可能であり、これらをもれなく満たすことが「良いデザイン」に近づく一つの方法である。ATM、公衆電話、券売機、公衆トイレなど、公共の施設やそこで利用される機器にはユニバーサルデザインが優先されることが望ましい。デザインに関わる人はもちろんのこと、全ての人がユニバーサルデザインを意識することで、よりよい環境や製品を生み出すことができる。
参考
記事のデータ
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公開日 | 2012年3月12日 |
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タグ | ユーザビリティ/情報を伝える/意図した通りに伝える/用語 |
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