トロンプ・ルイユ

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トロンプ・ルイユ

「だまし絵」や「トリックアート」のような表現「トロンプ・ルイユ」。その概要と使いどころについてまとめた。

トロンプ・ルイユとは

トロンプ・ルイユとは「だまし絵」や「トリックアート」のような表現技法のことである。フランス語で「目の錯覚」を意味する「trompe-l’œil」に由来する。「トロンプイユ」ともいう。写実的な表現によって立体的に描くことが多い。

トロンプ・ルイユの歴史

ポンペイ(西暦79年の噴火で埋没した遺跡)から写実的な技法で人物や窓枠を描いた壁などが見つかっている。遠近法が確立したルネサンス期以降はより高度なトロンプ・ルイユがみられ、西洋では宗教建築で多く用いられた。19世紀以降は多くの芸術家がトロンプ・ルイユを用いた作品を残している。シュルレアリスムの手法の一つと認識されることが多いが、写真のように描く「フォトリアリズム」とは異なる。

トロンプ・ルイユの分類と例

A:あたかも存在するように見せる

実際は存在しないものを描き、そこにあるように見せるもの。

天井画、壁画

建物をより高く見せたり、広く見せたりする効果がある。また宗教的意味合いから想像上の世界を描くこともある。

Church of Sant'Ignazio
映画や舞台の書割

遠景や室内の様子を描くことで、場所や状況を演出する。

BEN HUR
ストリートペインティング

クルト・ウェナーに代表されるストリートアーティストがパフォーマンスとして行う。道路や床に精緻な絵を描き、本来は存在しない穴や水面を描く。

Kurt Wenner

B:見方によって別のものに見える

ルビンの壺」のように、見方によって複数の異なるモチーフにみえたり、見えなかったモチーフが認識できるもの。

Charles Allen Gilbertの作品/妻と義母(作者不詳)
Charles Allen Gilbertの作品/妻と義母(作者不詳)
ジュゼッペ・アルチンボルドの作品/歌川国芳の作品
ジュゼッペ・アルチンボルドの作品/歌川国芳の作品
Aude Olivaの作品/Tim Noble and Sueの作品
Aude Olivaの作品/Tim Noble and Sueの作品
アナモルフォーシス

見る角度を変えたり、筒状の鏡面に映すことではじめて意味のある図形を認識できる「鞘絵」など。A.S.Virdiの作品。

アナモルフォーシス

C:ありえない構造の表現

3次元ではありえない構造の建築などを2次元上で表現するもの。マウリッツ・エッシャーが得意とした。

マウリッツ・エッシャーの作品
マウリッツ・エッシャーの作品

D:大きさ、長さ、角度、色などを錯覚する

大きさ、長さ、角度、色などを錯覚する

トロンプ・ルイユの使いどころ

体験を向上する

上記AやDを用いて、利用者の体験の向上を図る。部屋の奥行きや天井の高さが変化したように感じたり、通常ではではあり得ない体験をさせることもできる。

好奇心を刺激する

上記BやCを用いて、見た人の好奇心を刺激する。芸術の分野で多く用いられる。

デザインの手法として

上記Aを用いるが、写実性を取り除き、ポップな印象を与える。Tシャツに眼鏡やネクタイなどをプリントしたり、靴紐のないデッキシューズに靴紐を描いたりする。

cf.チープエフェクト

トロンプ・ルイユ

高級感の演出/費用の削減

上記Aを用いて、プロダクトの質感を高めるのに用いる。また、実物よりもコストを抑える目的で用いる。

画面インターフェースの補助

上記AやDを用いる。画面上に表示されるボタンやスイッチのアフォーダンスを高める効果や、重要度を差別化する効果がる。

本意を隠す

上記Bなどを用いて、直接的に表現したくない内容を表す。風刺などに用いられる。

参考

記事のデータ

文責IDIA.JP
公開日2014年12月1日
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