時間の視覚化

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時間の視覚化

「時間が存在するかどうか」は哲学者や物理学者の間で長きにわたり議論が続けられる難解な命題である。これは、時間が見ることができないものであり、とらえどころのないものであるために起こる議論であるが、日常においては時間が存在する前提で生活している。時間を視覚化するための道具を「時計」という。その時計のデザイン(=時刻の表示方法)を通じて、時間を視覚化する方法について考えた。なお、以下ではある特定の一瞬を「時刻」とし、ある時刻から別の時刻までを指す「時間」とは分けて説明している。

初期の時計

時間の概念

道具としての時計が誕生する以前は、太陽の有無やその高度の変化、潮の満ち引き、季節の移り変わりなど自然現象によって、一方で月経や妊娠期間、睡眠といった生理現象によって、「時間」を認識していたと推量する。

日時計

太陽の規則的な運行から「日」の概念を身につけ、さらに太陽によって生じる「影」と太陽の動きが同期することを学んだ人間は「日影棒(グノモン)」を発明し、直接太陽を見なくとも1日の時間の流れを確認することが出来るようになった。

太陽がないときの工夫

日時計が発達すると、雨の日や曇りの日、また夜間にも時刻を知る方法が求められた。これは「水時計(漏刻)」によって実現された。水時計では、容器から水の滴下する速度がほぼ一定であることを利用し、水が流れ出すのに要する時間や水がたまるのに要する時間を計ることで時刻を知ることができる。

一定時間を計る

水時計は優れた時計であったが、液体であるが故に扱いが難しく、また気温が低い場所では凍ってしまうなどの短所があった。これを解決すべく、水に代わって砂を用いた「砂時計」が発明される。後に、線香やろうそく、ランプ、縄など、物が燃える速度で時間の経過をはかる「燃焼時計」がうまれ、それまでの時計とあわせて使われるようになった。ただし、砂時計や燃焼時計は時刻をみる「時計」というよりは、時間を計る「タイマー」の役割で用いられることが多かった。

アナログ表示とデジタル表示

13世紀に機械式時計が発明されると、時間の概念はより明確で一般的なものになり、人々の生活や観念に大きな影響を及ぼすようになる。

アナログ表示

最初期の機械式時計は針が一本(時針のみ)の時計であった。誤差はそれなりにあったが、当時の生活ではそれほど問題がなかったようだ。この時点で「回転する針の周囲に目盛りを刻んで時刻を読み取る」というアナログ表示の基本的なデザインは完成していたといえる。アナログ表示の時計はそれまでの主流であった日時計と同じ方法で時刻を読み取る事が出来るため、スムーズに受け入れられたと推量する。その後、生活スタイルの変化や時計技術の向上とともに針の数は増えていくことになる。現代の一般的なアナログ表示の時計では、「時針」「分針」「秒針」の3針を備えている。

アナログ表示の時計では、時刻を一瞬で読み取るには経験や知識が必要である。これは、時針が24時間で一周するタイプの時計をみてみるとよくわかる。一方で、「時間の経過」や「現在の時刻と目標とする時刻との差」などを認識するには最適なデザインである。

デジタル表示

数字を特定のエリアに表示する事で時刻を示すデジタル表示は、液晶やクオーツムーブメントが開発されるよりも以前から用いられている。デジタル表示では数字さえ読めれば時刻を一瞬で判読することができるが、時間経過などの認識しやすさはアナログ表示に劣るとされる。

時計における新しい時刻の表現

上記のように、現在主流の時計はアナログ表示とデジタル表示に大別される。これらを組み合わせたり、その派生と思われる表示方法を採用した時計はいくつかみられるが、それらが第三の勢力になる事はいまのところない。

CITIZEN ANA-DIGI TEMP
CITIZEN ANA-DIGI TEMP
LED Binary Clock
LED Binary Clock
Maze of Time Watch
Maze of Time Watch
Kisai Maru LCD Watch
Kisai Maru LCD Watch

時間の表現の挑戦

時間をどう表現するかについては現在も継続して研究されている。時間には「時間は連続している」「時間は不可逆である」「時間には最小単位が存在する」「時間の感覚は変化する」などの特徴があるが、ここまでに説明してきた時計では、これらの特徴の多くを表現することに成功している。日時計やアナログ表示の時計では「時間の連続性」を、水時計や燃焼時計では「時間の不可逆性」を、デジタル表示の時計では「時間の最小単位が存在する可能性」を表現に取り込んでいるために、われわれは違和感なく使う事が出来ている。これら全てを満たすことができるもの、あるいはこれまでの時計では表現できていない「時間の感覚は変化する」を視覚化出来れば、新しい時間の表現が可能になるかもしれない。

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文責IDIA.JP
公開日2015年7月15日
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